プログラム・日程表
1日目予定
■ 大会長講演:「日本の近代化のはじまりと看護の発展」
鈴木紀子
博士(人文科学)。大学病院師長時代に大学院に進学、歴史学を学ぶ。日本看護歴史学会理事。順天堂大学医学部医史学研究室に所属。医療・看護の歴史の知識と臨床で培った看護技術をもとに、テレビドラマや映画の医事指導・監修の経験をもつ。
2023年公開「レジェンド@バタフライ」、テレビ朝日2時間ドラマ「キッチン革命(前編)」の医療監修を担当。
著書:『看護歴史研究入門』(看護の科学社、2020年)
『看病からの看護へ-戊辰戦争の医療と看護-』(看護の科学社、2021年)
■ 教育講演Ⅰ:「箱根病院の軌跡-医療・看護の発展に繋がる道」
小森 哲夫先生
(国際医療福祉大学小田原保健医療学部 学部長)
博士(医学)。東京都立神経病院で神経難病診療と研究に従事。
Western Ontario大学神経科学教室へ留学。国立病院機構箱根病院長名誉院長。国立病院機構本部審議役。日本神経学会難病医療体制セクションリーダー。日本神経治療学会功労会員。日本臨床神経生理学会名誉会員。学会賞受賞(2017年)。厚生労働省「難病患者の総合的地域支援体制に関する研究班」研究代表者。
■ 理事セッション
理事会セッション1(戦争と看護シリーズ)
演者:鎌倉幸子先生
(2024年公開予定映画「じょっぱりー看護の人花田ミキ」プロデューサー)
川原由佳里先生
(日本赤十字看護大学大学院教授)
「戦争が廊下の奥に立っていた」(渡辺白泉1913-1969)は、戦争の悲惨さが多くの国民にとっては未だ対岸の火事であった頃の俳句だが、戦争は気付かぬうちにひたひたと忍び寄ってくるとの警戒感が伝わる。理事会セッションⅠで「戦争と看護」を取り上げようと決めたのは京都大会(2013年)からで今年は11回目となるが、あらゆる面で人間の尊厳を奪い尽くす戦争の不条理さを、史実を通して正しく認識する上で貴重なセッションが続いてきた。
だが、今年は、少々様相を異にする。国会の場で飛び交う軍事用語のすさまじさは、70数年前に世界に向かって誓った非戦平和の国とは到底思えず、前述の句と共通の「新たな戦前」の空気感が漂っている。
そこで、今年は 「戦争は過去のものではない」のテーマのもとで
1.看護と戦争:歴史研究にできること
川原 由佳里
2.”いのちを阻むものは全て悪”
-じょっぱり看護の人花田ミキ
の映画(予告編)を見ながら
鎌倉 幸子
乞うご期待!多数のご参加を願います。
理事会セッション2(特別委員会)・理事会セッション3(研究推進委員会)合同企画
講師:月澤美代子先生
テーマ「時間泥棒と持続する志、あるいは、タイパとサステナビリティ」
(元順天堂大学大学院医学研究科准教授)
-1冊の本『ツベルクリン騒動-明治日本の医と情報-』が誕生するまで
誰でも1日24時間、1年365日。人生最も長く生きられても125年くらい。さて、この時間をどう使うか。自分自身で日々の糧をひろい、棲み場所も確保しつつ、「時間泥棒」に時間を盗まれないように気を配り、いかに、自分自身の中の「持続する志」を維持しつづけ爪痕を遺していけるか。これが、私の人生の最大のテーマ。
その小さな爪痕としての1冊の本が、『ツベルクリン騒動-明治日本の医と情報』として2022年11月に名古屋大学出版会から刊行されました。ロベルト・コッホの開発した結核新治療薬「ツベルクリン」をめぐる「情報」の流れと人々の動きを語りつつ、明治20年代という日本の、そして世界の医療の大きな転換点を浮かび上がらせようという壮大なテーマです。さあ、その誕生までの道のりと、そこに籠めた著者の思いを語りましょう。
2日目予定
■ シンポジウム:「看護の技を未来に繋げる
-コロナ禍で臨地実習ができない中、看護技術をどのように学ばせるか-」
シンポジスト
・川嶋 みどり先生
(本学会理事、医療法人財団健和会臨床看護学研究所所長)
・中川 真帆先生
(聖路加国際病院看護部)
・曽田 陽子先生
(愛知県立大学看護学部・大学院看護学研究科 准教授)
■ 教育講演Ⅱ:「歴史に向き合う―記憶と記録の意味を問う」
黒沢 文貴先生
(東京女子大学名誉教授)
博士(法学)。宮内庁書陵部編修課主任研究官を経て、東京女子大学現代教養学部教授。舞鶴市ユネスコ世界記憶遺産有識者会議の会長として「舞鶴への生還」のユネスコへの登録申請に携わる(2015年10月10日ユネスコ世界記憶遺産への登録が発表される)。外務省「日本外交文書」編纂委員。
著書:『日本赤十字社と人道援助』(編書、東京大学出版会、2009)
『歴史と和解』(編書、東京大学出版会、2011)
『二つの「開国」と日本』(東京大学出版会、2013)
『歴史に向きあうー未来につなぐ近現代の歴史』(東京大学出版会、2020)
■ 教育講演Ⅲ:「兵士たちの心の中の戦争」
中村 江里先生
(広島大学大学院准教授)
博士(社会学)。一橋大学大学院社会学研究科特任講師等を経て 2020年10月から現職。
著書:『戦争とトラウマ:不可視化された日本兵の精神神経症』(吉川弘文館 2018)、Traumatic Pasts in Asia (共著)(Berghahn Books
2021)、『社会のなかの軍隊/軍隊という社会』(共著)岩波書店
2022)『戦争と軍隊の政治社会史』(共著)(大月書店 2021)、『戦争と文化的トラウマ』(共著)(日本評論社 2023)他多数
■ 教育講演Ⅳ:「看護教育教材・方法の変遷」
岡本 華枝先生
(京都光華女子大学健康科学部 看護学科
成人看護学 准教授)
日本医療教授システム学会理事。
全日本患者安全組織文化学習支援財団理事。
NPO法人地域医療の質向上協議会理事。
著書:『学習者中心の教育を実現するインストラク
ションデザイン理論とモデル』(共著)(北大路書房、2020)
『漫画なら64』(漫画による医学教育研究会、2022)
『「これからの看護教育」を育むためのNSLR(Nursing Student Learning Recommendations)看護学生の学習に関する提言』(連載6回)(情報誌ラポール・メディカ出版、2022)